ノラネコという猫はいない

  • 2008/07/28(月) 13:44:14

日本では野生の猫はいないという。
町をうろつく猫はイエネコと言い、
ペット用に改良されたもので
ヒトが捨てないかぎり増えることはない。

つまり、本来ならばヒトのもとで育てられ
雨風飢えの心配なく
幸せに暮らせるはずの子たちが
去勢避妊もされず捨てられたり逃がされたりし
(あえて逃げるとは言わないJ)
増えたり減ったりしながら
外で暮らしていることになる。

そういう意味では時々
顔も知らぬ身勝手な人間を嫌いになるときがある。
一体いっとう最初に捨てた人間逃がした人間は誰だろうと思う。
ブラックバスも
アライグマもカメもインコも
ニュースを見るたびバカめが!と哀しくなる。


でも幸いJの町では
ノラを可愛がるオバチャンたちがいて、
避妊去勢はもちろん
雨の日も風の日も毎日餌をやったりと
世話をやく姿をよく見かける。

お腹がすけば人間に甘え、程よく肉が付き
アスファルトで仲間とじゃれあう姿を見ると
ノラネコもノラネコなりに
生を満喫しているように見える。

が!

実はJには半年くらい前から
とても気になるノラがいる。

やせこけて、尻尾もしおたれて
ゴミの袋の臭いをかぐ猫。

それがプラごみだったりするとたまらなく切ない。

ちゃんと食べてるのかなあ。

も少し先に行けば餌をくれる人がいるのに。
そこでは飼い猫かよってくらい
猫たちは肥えてデカくなってるのに。

それでもまだ半年前まではまだ腹に肉がついていた。

日に日に猫はやせていく。

そしてやっぱり力なくゴミ袋の臭いをかいでいる。
ゴハンないのかな。
どうしてこの子だけ一人ぼっちなんだろう。

あっちもこちらをチロリと見てまた歩みを進めていった。
これも毎日の日課だ。
どうすることもできず見送っていると
すぐそこで丸々太った黒猫がJを見ていた。
黒猫は目が合うと走って逃げてしまった。

なんだか無性に哀しくなって
家に飛んで帰り餌を持ってきた。

ノラだから今日はもう会えないかも。
もし会えても警戒して食べてくれなかったらどうしよう。
餌を置いて帰るのはルール違反だ。
つか、一時の感情であげたりあげなかったり
そんなのが一番猫にとって可哀想なことじゃない?

いろいろ葛藤しながら
それでもネコと会えた。

ネコはJを見るとその場にスフィンクスのように座って

にゃあ

と鳴いた。

近づくとフーッと怒ったが
餌は飲み込むように食べた。

そして
食べてる間二度、口を休めて
Jの顔をまっすぐに見つめた。

半年も経って初めてその子の顔を見た気がする。

食べ終わるとネコはJの横を通り過ぎ、
一度だけフーッと言った。


ああ、これからどうしよう・・・

Jの天秤明日はどっちだ。